JFEスチール株式会社

JFEスチール株式会社 様

広大な敷地内での安全支援をiFieldで実現

JFEスチール株式会社 西日本製鉄所
製鉄所内での危険源をモニタリング・共有し構内災害を防ぐ

JFEスチール様表紙

 鉄鋼製品の一貫生産を行うJFEスチール株式会社西日本製鉄所福山地区。 広い構内は原料バースから製銑、製鋼、圧延、出荷バースのエリアに分かれ、 さまざまなプロセスに多くの作業者が携わっている。 いっぽう構内には高温・溶融物や大型・重量物、有害物などさまざまな危険源があり、 万が一事故が起きた場合の影響度は大きく、作業者の安全管理が不可欠だ。 同製鉄所安全健康室ではiFieldを導入し、作業者を災害から守る安全支援のしくみを構築することに成功している。 同社安全健康室の福永氏にお話を伺った。


原料ヤード内での点検者と移動機の近接を防ぐ

 安全健康室ではこれまで構内での災害を防ぐためのさまざまな仕組みの構築や、安全化を進めてきた。 災害の発生頻度を示す指標では、他の製造業と比較しても1/5程度と高くないものの、 災害につながるような事案を完全には撲滅できていないことから、 さらなる安全支援の仕組みを構築するために「安全モニタリングシステム」としてiFieldを導入した。

 その機能のひとつが、移動機近接監視だ。 船から運び出された鉄鉱石や石炭は、そのまま製造工程に入らず、 一旦原料ヤードに仮置きされ、必要に応じて製造工程へと払い出される。 この作業を行うのが、スタッカーやリクレーマといった数十メートルにも及ぶ巨大な移動機だ。

「移動機は原料センターで自動制御しており、通常は原料ヤードが無人の状態で操業します。 しかし点検時などに、人が立ち入らなければならないケースがあります。 この際に問題になるのが、移動機を制御する原料センターからは点検者の位置を把握できないことです。 両者が接触しないようにするためには、立ち入った点検者が、 自身の距離感を頼りにして移動機に近づかないように注意するしかありませんでした」

 これらの課題を解決するべく、iFieldを導入。 点検者と移動機の位置情報を取得し、原料センターの端末に表示されるマップ上でそれぞれの位置を把握できるようになった。 さらに点検者と移動機が近接していると判定された場合、 システムから点検者本人と原料センターにアラートが発報される仕組みも構築した。 原料センターからの監視が可能になったことで、 点検者の安全確認や、万が一の際の移動機の緊急措置が可能になり、災害リスクを軽減させることに成功した。 「今後は屋内測位を活用して、工場建屋内でのフォークリフト等との近接判定ができるように応用していくことを検討しています」

iField導入前と後のイメージ画像

システム導入後は移動機近接監視が可能になり、点検者の安全性が向上した


一人ぼっち作業の安全性向上

 ふたつ目は、一人ぼっち作業の安全性向上だ。 保全作業者はメンテナンスや点検のために、広い構内を1人でパトロールすることがある。 構内の種々の危険源に近接するような作業では、異常が発生した場合に周りの人に助けを呼べない可能性もあり、 リスクの高い「一人ぼっち作業」と呼ばれている。 従来の仕組みでは、管理監督者は作業者から定期的に連絡を受けて状況を把握していたが、 途中で本人と連絡が取れなくなった場合は、広い構内のどこに行っているのか把握することができなかった。

 構内作業者は、iFieldの利用によりリアルタイムな位置情報がわかるだけではなく、 「パトロール中」や「トラブル対応中」 といったステータスも共有できるようになった。 これにより管理監督者は作業者の位置確認が可能となったほか、 トラブルが発生した際の対応要請等が適切かつ迅速にできるようになるなどの効果をもたらした。

 「トラブルが発生したら管理監督者がマップ上で発生場所と作業者の位置を確認して、 周囲の人に指示を出すことが できます。近くにいる人が初動対応の依頼に駆けつけたり、 応援者自身もスマホから位置確認ができるので、さらに近くにいる者に応援を要請したりすることも可能です。 作業者自身の安全確認はもちろん、 必要な人員の手配や離れた場所からの移動という負担も軽減して、業務効率化にもつながっています」

システム画像(安否確認)

「一人ぼっち作業者」の安否確認や有事の際の位置確認が可能になった

スマホを活用した現場 KY(危険予知)

 構内では作業に潜む危険を事前に予測して対策するKY(危険予知)を行ってから作業着手することがルール化されている。 作業者は作業前にKYを実施し、KYシートという様式に記入して上司に提出、上司はそれを確認して、 作業者に作業着手承認や安全指示を出すという仕組みだ。
 途中で変更が発生した際には、一度記入したKYシートにさらに追記を行い、 上司に提出・報告をして再度作業着手承認や安全指示をもらわなければならない。 しかし作業者は暑熱環境で汗をかいたり、屋外で雨が降ったり、粉塵等の環境により紙がふやけたり、 破けたり、汚れてしまったりと再KYを追記するのが難しいケースもある。 時として承認工程の煩雑さから再KYを実施せずに作業に取り掛かってしまうというケースも発生している。
 iFieldの報告書機能にKYフォーマットを事前に登録することで、上司にKY内容を共有することができる。 上司だけでなく、同僚も確認することができるので、 一人ぼっち作業を行っている作業者とのコミュニケーションを可能にし、安全にもつながっている。 「KY実施後に作業者が異常情報を受け取った場合、その旨をiFieldで音声入力を使った音声KYを実施し上司と共有し、 作業着手承認と安全指示を受けて作業に着手できます。紙に記入して上司に再提出という手間がなくなり、 スムーズに再KYが実施できるようになりました。承認工程が簡便になったことで職場の再KY実施率が向上し、 またKY不足に起因した災害件数は7割減と効果が表れています。

 iFiled安全モニタリングシステムの導入により、作業者を災害から守る安全支援のしくみを構築することができました。 今後もさらに強固な安全化に向けて引き続き改善を続けていきたいと考えています」

災害件数削減グラフ推移

スマホKYの導入は再KY実施率向上 ・KY不足を起因とした災害件数の削減につながった

システムのポイント

  • 作業者と巨大移動機の位置把握と通知による安全管理
  • 作業者の位置情報とステイタス管理によるリアルタイムな状況把握・作業指示
  • 提出書類の電子化による報告作業の効率化

お客様プロフィール

JFEスチール株式会社

鉄鉱石を原料に最終製品の生産までを一貫して行う鉄鋼(高炉)メーカー。 世界トップクラスの鉄鋼生産規模を持ち、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します」という企業理念のもと、 さまざまなニーズに応える鉄鋼製品をグローバルに提供する。 西日本製鉄所は世界最大規模の製鉄所で、福山地区は敷地面積 1420万平米の広大な構内に1万5000人が働く。

業種
製造業
目的
安全管理/業務効率化
関連サイト

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